がんを引き起こす炎症

2019/01/08

明けましておめでとうございます。皆様も、良い年を迎えられたことと思います。オリンピックもいよいよ来年となりました。また、天皇陛下の代替わりの儀式などもあり、大変忙しくなると予想されます。今年もしっかりコラムを書かせていただきます。
 
本題に戻ります。前回は「
がんと闘うための総合戦略」を紹介しました。今回はがんの特徴を書きます。


 人体に最初のがん細胞があらわれ、これがより攻撃的なものに変わっていくプロセスを「発がん」といいます。発がんは炎症と深いつながりがあります。まさかと思われるでしょう。第一線の科学者でさえこの事実をまだ理解していない人が多いくらいだから、読者がただちに理解できなくてもムリもありません。しかし、発がんの研究で著名なカリフォルニア大学のブルース・エームス教授は、約30パーセントのがんが、炎症、あるいは慢性の感染症に関係していると語っています。
 
じつは130年も前から、がんは炎症の起こっている箇所に多発することが知られていました。そして多くの研究の積み重ねから、遺伝子の変異と炎症が、がんのおもな原因であることがわかってきているのです。




出典:「がん治療の最前線」生田哲 SBサイエンス・アイ新書


どういうことでしょうか? バイ菌に感染すると、バイ菌を殺すために炎症が起こり、マクロファージや好中球が活発化し、活性酸素というロケット弾を敵めがけて発射します。しかし、この活性酸素が敵ばかりでなく、細胞の内部に存在するDNAにも損傷を与えてしまうのです。これは、戦場で味方の砲撃によって犠牲者がでてしまう“友軍砲火”の生物版といえます。
 
つぎに、DNAダメージが原因となってDNAの並びが変わってしまう変異が起こり、成長と増殖に異常の見られる良性腫瘍となります。この良性腫瘍に炎症によって発生した成長因子というタンパク質が注がれることで、悪性腫瘍、すなわち、がん細胞ができるのです。このようにがん細胞は、正常細胞が変身したものなのです。

 
これで腸の炎症から大腸がんが、肝臓の炎症から肝臓がんが起こることが説明できます。そしてHPV(ヒトパピローマウイルス)による慢性的な感染症によって、子宮頸がんが生じていること、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が胃がんを引き起こしていることも説明できます。


肝臓がんはB型、C型肝炎ウイルスによる炎症、中皮腫はアスベストによる炎症、肺がんはタバコの煙に含まれるさまざまな有害物質による気管支の炎症によって引き起こされるのです。

それなら、炎症を抑えれば、がんを防ぐことができるのでしょうか?

 

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